12月議会 中村の一般質問

答弁者:
石坂 真一 市長
田上 富男 教育長
石田 誠 市民生活部長
仁平 明 健康福祉部長
滝田 真 産業部長

1.若者などへの支援策について

ヤングケアラー』は、18歳未満で学業や仕事のかたわら、障害や病気のある祖父母年下のきょうだいなどの介護や世話をしている子ども達のことである。学業が遅れたり、進学や就職を諦めたりするケースもあるという。
厚生労働省の調査では、全国の中学2年生6%高校2年生4%が『ヤングケアラー』であるとのことだが、真岡市では実態把握子ども達への啓発、地域内での支援体制の強化などについて、今後どのように取り組んでいくのか。
現在、支援が必要な子ども達については、児童相談所、警察、教育委員会などで構成される『要保護児童対策地域協議会』で情報共有しているが、真岡市内で『ヤングケアラー』と思われるケースはない
今後も、学校、民生委員、家庭相談員による教育福祉懇話会などの場で情報交換を行うとともに、新たにポスターリーフレットを保育所、幼稚園、小中学校に配布し、子ども達への啓発を図っていく。
現在、国は『ヤングケアラー』の認知度を、中学生・高校生の中で5割に引き上げることを目標としている。この状況では正確な実態把握は難しい
だからこそ、子ども達への啓発活動が重要であり、印刷物の配布で済むような話なのか疑問を抱く。那須塩原市では、各学校でヤングケアラーの経験者による講演会などを開いているそうだが。
まずは啓発活動を行うことが重要と考えており、ポスターリーフレットについては1月に配布する予定である。
また、家庭相談員が学校に出向く際、子ども達に何らかの異変があった場合には、家庭の様子聞くよう依頼をしているところである。
なお、現時点で講演会の開催などは考えていない。
印刷物による啓発活動だけでは、読み飛ばされてしまうことも考えられる。ぜひ、それ以外の方法も考えていただきたい。
その上で、『ヤングケアラー』について市独自の実態調査が必要と考えるが。
『ヤングケアラー』のような経済的・養育的に問題があるケースについては、『要保護児童対策地域協議会』のほかに、各地域や学校において細かく対応しているところである。
那須塩原市の学校などで啓発活動をしている仲田海人さんが、先頃『ヤングでは終わらないヤングケアラー』という本を書かれた。
このタイトルからも分かるように『ヤングケアラー』は、成長とともに問題が解決する訳ではなく、むしろ問題の根は深くなる
真岡市において、こうした層が取り残されることがないよう、迅速に、果敢に対応していただきたい。
内閣府の調査では、日本国内ひきこもりの状態にある人々は、100万人規模とされている。また、真岡市内でも市民の約1%弱が該当者であると見込まれている。
そうした中、現在真岡市では『ポラリス☆とちぎ』(栃木県子ども若者・ひきこもり総合相談センター)と連携し、相談会の開催など行っている。迅速な対応は高く評価するが、小山市などでは相談室を常設化させている。今後真岡市としてはどのような取り組みを考えているのか。
現在『ポラリス☆とちぎ』と連携し、月1回の相談会を開催しているほか、障害児者相談支援センターでも随時相談を受けており、必要に応じて県などの関係機関につないでいる。
また、支援体制の充実を図るため、県主催のひきこもりサポーター養成講座を受講した6名のサポーター相談事業などに関わっているところである。今後の新たな取り組みとしては、ひきこもりの家族向け支援セミナーの開催を予定している。
ポラリス☆とちぎ』と連携した相談会をスタートさせてから、これまでに相談を受けた市民はどのくらいいるのか。
令和2年2月から相談会を開催して、令和3年10月までに、延べ54件の相談を受けてきた。
以前はこうした事業が行われていなかったことを考えると大きな前進だが、現状の月1回の相談会で十分という認識なのか
1回につき4人分の相談枠で定員に満たない月もあり、定員をオーバーした月には翌月にまわっていただくなどしており、対応はできていると思う。
ひきこもりの状態になった要因・背景は人それぞれであり、その対策も千差万別である。
現状の取り組みだけにとどまることなく、あらゆる選択肢を視野に入れて対応していただくのと同時に、その内容は、市民に広く知らせていただきたい。

2.教育分野の諸課題について

今年度から学校教育課に、教育施策を調査・研究する教育政策係を立ち上げ、このほど、市内の23小中学校全教職員を対象にアンケートを実施した。
このアンケートは、各学校での課題のほか、今後の研修や若手教職員のサポートのあり方などを、学校で働く全ての人から意見を聞くことを目的としたものである。ここまで大々的な調査を行うのは、真岡市としては初めてのことであり、高く評価したい。
今回のアンケート結果を踏まえ、今後どのような教育施策を展開していくのか。
アンケートを集計したところ『今後力を入れていく必要があると思うもの』として、学力向上という回答が最も多く、教職員の学力向上に対する意識の高さが分かった。また、課題については、教職員年齢構成偏りを指摘する意見が多く、先輩教職員の支援を必要としていることが浮き彫りとなった。
今後、調査結果は報告書にまとめ、ホームページで公表するとともに、自由記述の欄に書かれていたアイデアは事例集として市内全校に広める。
真岡市では今年度、学力向上の取り組みで成果の上がった事例を、全ての学校に普及させていくようなことも行っているところである。
ぜひ、今回のアンケート結果についても情報を共有化させ、施策を展開していただきたい。
また、議会を含め市民にも公表して、意見を募れるような形にしていただけたらと思う。
国際バカロレア』は、スイス発祥教育プログラムであり、すでに世界140ヶ国以上の学校で導入されている。先頃、文部科学省主催の研修会に参加したが、このプログラムに取り組んでいる学校の事例報告を聞き、探究心やバランス感覚、コミュニケーション能力などに重きを置く授業内容は、従来とは全く違うもので大変驚いた。
日本でも来年度までに、全国で200校を『国際バカロレア』の認定校にすることを目標としているが、そうした状況について教育委員会ではどのように捉えているのか。
近年、『国際バカロレア』が注目され、日本でも私立校を中心認定校が増えている。真岡市では、現在のところ認定を受ける予定はないが、このプログラムが目指しているものは、真岡市の教育目標と通じるものがある。
今後も真岡市では、AET(英語指導助手)やJTE(日本人英語指導者)による実践的なコミュニケーション活動のある授業や、イングリッシュサマーキャンプの実施、オンラインを活用した教育国際交流などを推進していく。
一方では『国際バカロレア』のようなものが世界の新たな学力の基準とされ、論理的な思考力を磨く教育の姿がある。もう一方では基礎学力の定着こそ重要という考え方もある。
この2つの要素は、いずれも欠かすことはできないものだが、限られた授業日数、授業時間の中で、どのようにバランスをとるのが理想と考えているのか。
前回の学習指導要領の改訂で『国際的な通用性』がクローズアップされた。まずは、基本的な事項確実に習得させること。そして、それを活用しながら学習指導要領の目指す思考力、判断力、表現力を、アクティブラーニングなどを通して身につけさせるということを両方やっていくことが重要と考えている。
今の答弁は、幼少期は基礎基本を固め、成長段階に応じて『国際バカロレア』が目指すような応用力を身につけさせるということか。
それとも、それぞれの時点で基本と応用を同時に身につけさせるということか。
例えば、小学校1年生であれば基礎基本を身につけるが、できる範囲で子ども達が話し合って問題解決をしていくような授業づくりが大事だと思っている。
したがって、それぞれの発達段階で基礎基本と応用力を高めていくという考え方である。
国際バカロレア』は私立校だけでなく、高知県香美市の大宮小学校のように公立の小学校でも認定を受けるところが出てきている。少なくとも現段階で言えることは、こうした新しい教育プログラムを受けた子ども達と、真岡市の子ども達が近い将来、受験や就職、さらにその先の実社会で競争していかなければならないということである。
まずは、調査・研究をする必要があるのではないか。
香美市立大宮小学校については調べてみたが、カリキュラムそのものが大きく違うと思った。ただし、新学習指導要領でも『国際的な通用性』というものを掲げており、まずはそれを確実にやっていくことが重要であると考えている。
今後も様々なスタイルの教育プログラムが出てくると思われるが、そういったものに注視しながら、真岡市が目指すべき教育を進めていきたい。
今後『国際バカロレア』を導入するにしても、直ちに教育現場で取り入れられるものではない。
教育政策係も立ち上がったところである。ぜひともそうした部署で、しっかりとした調査・研究をお願いしたいと思う。

3.有害鳥獣対策について

令和元年度、栃木県内のイノシシによる農業被害額は約1億2,800万円で、そのうち約11%が真岡市内での被害である。県内には25市町あるので、真岡市比較的被害多く受けている地域と言える。そうした農業被害に加えて、里山周辺の住民の安全や地域内の生態系の維持を考えると、早急な対策が必要である。
今年度、真岡市有害鳥獣対策費は254万1,000円。それに対して桜川市は6,158万5,000円で24倍以上の差がある。この現状をどのように考えているのか。
真岡市桜川市では、林野面積約5倍の差がある。また、イノシシ捕獲頭数は令和2年度の実績で真岡市が128頭に対して、桜川市が1,561頭と約12倍にも及ぶ。さらに、1頭当たりの報奨金が国、県の負担分も含めて、真岡市は1万1,000円なのに対して、桜川市が2万4,000円で約2倍の差となっている。
有害鳥獣対策の予算は、各自治体の実施体制が異なるため一概に比較できないが、イノシシの被害拡大も懸念されるので、従事者への報償金の増額などを検討していく。
イノシシ捕獲の際の報奨金拡充は、これまでも様々な議員が質問し、会派『もおか新時代』が先頃提出した建議要望にも盛り込んだ項目で、前向きな答弁は大変ありがたく思う。
報奨金は、真岡市が1頭につき1万1,000円なのに対して、桜川市2万4,000円ということで大きな差があり、イノシシの捕獲や担い手確保にも影響が出ているものと思われる。ぜひ、改善をお願いしたい。
イノシシ猟は、銃を用いたものと罠を用いたものに分類され、罠には『はこ罠』と『くくり罠』がある。
猟友会の方によれば、そのうち最も効率がいいのは『くくり罠』とのことであるが、1人の有資格者仕掛けられる罠は、30個までという規制がある。
今後、市として、狩猟の担い手どのように育成していくのか。
現在、『くくり罠』の有資格者は市内に20名おり、70歳以上が12名と全体の70%を占めており、高齢化が進んでいる。
現在、新たに狩猟免許を取得する市民に対して、取得費用一部補助を行っており、イノシシ被害が多い地区を中心にチラシを配布するとともに、市ホームページなどでも情報を発信している。
『くくり罠』の有資格者の22名中12名が70歳以上というのは、かなり高齢化が進んでいる状況である。近年、狩猟の免許取得した市民どのくらいいるのか。
ここ数年、免許取得者は増えなかったが、今年度は50代の男性と、30歳の女性の2名が新たに取得し、今後は2人増で従事する。
このうち、30歳の女性は、銃器の免許も申請中である。
若い世代の女性が免許を取得したというのは非常に頼もしい話である。ぜひ、そうした市民の存在については、広報紙などを通じてPRしてほしい。
また、今回の質問項目に入れなかったが、桜川市ではイノシシの問題専門で担う職員を雇用している。高齢化や人口減少が進む中にあっては、そうしたことも研究すべき課題であると指摘をしておきたい。
イノシシ対策には、イノシシの実態把握が欠かせない。しかし、イノシシは警戒心繁殖力の強く、どこに、どのように、どのくらい生息をしているのか、なかなか実態がつかめない
そうした中、最近各地の自治体で取り組まれているのが、ドローンの活用である。真岡市でも、イノシシの実態把握や効率的な狩猟のために、活用を検討してはどうか。
真岡市では『はこ罠』や『くくり罠』など必要な物資の貸与のほかに、今年度センサーカメラを7台導入し、有害鳥獣の実態把握に取り組んでいる。
ドローンの活用は、上空からの実態調査や超音波による追い払いなどが行えるので、先進事例を参考に、県や猟友会など関係機関と協議し、調査・研究していく。
今から3年前、真岡地区内小学校付近イノシシが出没するという出来事があった。
その際に感じたのは、この問題はもはや特定地域に限った課題ではなく、生態系を把握しなければ解決が難しいということである。
ドローンの活用について前向きな答弁だったが、できるだけ早く実現をしていただきたい。

4.今後の情報発信のあり方について

コロナ禍にあって強く感じることは、行政情報を市民に正確に伝えていく難しさである。これまでもホームページや広報紙によって行政情報は伝えられてきたが、これらは市政にある程度高い関心がないと伝達までには至らない。
そうした中、各地の自治体ではLINEによる情報発信を行う取り組みが見られ、栃木県内でも佐野市が活用を始めたところである。
真岡市でも、先進事例を参考に、新たな情報発信の方法を検討してはどうか。
LINEは、情報配信のほかオンラインによる手続きやキャッシュレス決済なども可能であるため、自治体での利用が拡大している。
真岡市でも公式アカウント取得済みで、現在は暮らしの情報、観光・イベント情報のほか、市外在住者に向けた移住・定住関連情報などを2月からの配信開始に向けて準備を進めている。
また、AIによる問い合わせ自動応答にも対応する予定である。
これまで真岡市では、移住・定住の促進に力を入れ、市外の人々に向けてSNSを活用した情報発信にも努めてきた。しかし、これまでの取り組みは、移住希望者側が真岡市に対して一定の関心を持っていなければ、効果を発揮しないものだった。
千葉県富里市や茨城県行方市などが、首都圏の鉄道中吊り広告を活用し、自治体のPR活動を行っており、地域を知ってもらうきっかけ作りとしては参考事例であると考える。真岡市としても活用を検討してはどうか。
首都圏の鉄道中吊り広告を活用したPR活動は、視認性に優れ、インパクトもあり、話題性も生み出せる。しかし、首都圏の主要なJR線に中吊り広告を掲載した場合、7日間で数百万円かかり、費用対効果を分析できないことから実施する考えはない
首都圏に向けたPRについては令和4年1月から3ヶ月間、『いちご』や『移住』というキーワードを、スマートフォンやパソコンなどで検索すると、真岡市の広告が配信されるデジタル広告を実施する。
行方市によれば、路線を限定して広告を出せば、50万円程度の予算で実施できるとのことだった。
自治体間競争が激しくなっている中で、わざわざ真岡市選んでもらうには、関心を持ってもらうための最初のきっかけ作りが重要と思うが。
仮にデジタル広告を活用するにしても、今までの行政の発想では難しい
一瞬でインパクトのある情報発信をしていくには、専門家の知恵を借りるということも必要であると考えている。
『ポストコロナ』ということも考えていく必要がある今、定住の促進観光の振興で問われるのは『攻めの広報』という発想だと思う。『すでに情報は発信しているから、そちらを見てくれ』という姿勢では、あまりにも弱すぎる。この課題については、全庁的に考えていただきたい。