平成23年度 真政クラブ・公明 会派視察研修

11月16日から18日にかけて、中村が所属する会派『真政クラブ・公明』では、北海道江別市と登別市へ会派視察研修に赴きました。今回のテーマは①地元経済活性化・定住促進 と②議会改革でした。

登別市議会における改革の始まり

登別市議会において議会改革がスタートしたのは平成17年度からである。同年9月に「議会改革特別委員会」、さらに翌18年に「議会改革検討会議」を立ち上げている。
ただし、この間に進展した内容と言えば、次期市議選での定数削減(24名→21名)、政務調査費の削減(月額20、000円→10、000円)、日当(1日600円)の廃止など、当初の改革は、議会費の歳出抑制に重点を置いていた印象が強い。
その一方で、市民との意見交換の場である「議会フォーラム※1」の開催、常任委員会での「公聴会、参考人制度の活用」「各種団体との意見交換の義務化」、さらに「定例会の回数削減※2(年4回→3回)」なども答申されているものの、本格的な実施は平成19年4月に市議選が行われた後であったようだ。
※1 登別市議会の『議会フォーラム』は平成19年度から本格的なに開催されているが、試験的なものが18年6月に1度開かれている。
※2 定例議会の回数を削減させた目的は、議会費の歳出削減ではなく、回数を減らすことでそれぞれの定例会においての議員が行う一般質問などの質を高めることが目的だった(6月議会を廃止している)ようである。しかし、4年経過して平成23年の改選期を境に定例会は従来通り4回に戻している。

改選(平成19年)後の議会改革

平成19年4月の改選後、登別市議会では議会全体を「常任委員会及び特別委員会のあり方小委員会」「本会議中継小委員会」「議決権の拡大小委員会」「議会基本条例小委員会」という4つの小委員会に分け、本格的な議会改革を推し進めることとなった。
議会改革が「議会費の歳出抑制」から、本格的な中身の改革にシフトしていった背景には、平成18年に同じ北海道の栗山町で全国初の「議会基本条例」を制定させたことが大きな刺激になったものと思われる。さらに、登別市自体もその前年である17年に「まちづくり基本条例」を制定させており、その条文から協働型の議会を構築する必要性に迫られていたことも要因となった。
各小委員会での協議を踏まえて、「議会フォーラム」の開催(平成19年度から年1回)、「インターネットを活用した本会議、委員会の中継」(平成21年9月本格稼働)、「政治倫理条例」(平成23年4月1日施行)、「議会基本条例」(平成23年5月1日施行)などを実施してきた。 また「議場へのパソコン持込み許可」や「議場での質問・提言用モニターの設置」などITを積極的に取り入れているのも、登別市議会が行った議会改革の大きな特徴と言える。

議会フォーラムについて

現在、真岡市においては「自治基本条例検討市民会議」が発足し、まちづくりのルール化に向けた話し合いが続けられている。その中では、当然のことながら「議会と市民の関係」についても議題として挙がっている。
今後、真岡市で「自治基本条例」が制定された場合、それを受けて議会でも「議会基本条例」を制定する必要性が、登別市同様出てくることが予想される。
「議会基本条例」が制定されるならば、市民とのコミュニケーションを図る「議会報告会」の類を開くことは不可避の課題となる。※1
では、すでに4年以上にわたって「議会フォーラム」という名称で市民との意見交換を行ってきた登別市議会では、どのような方法をとっているのか各年度ごとに概要をまとめてみた。

○平成19年度
  ・テーマ「議会改革」で市民との意見交換。
  ・市民参加者は200名。
  ・7月に3日間、3会場で実施。
  ・議員全員を、資料班、広報班、まとめ班に分け、事務局はサポート役。
  ・正副議長、議会運営委員会正副委員長は全会場出席。他の議員は3班に分かれて3会場のいずれかに出席。
○平成20年度
  ・テーマ「登別の観光」で市民との意見交換。
  ・市民参加者は180名。
  ・6月に4日間、4会場で実施。
  ・議員全員を、資料班、広報班、まとめ班に分け、事務局はサポート役。
  ・全議員が全会場出席。議員、市民とも各会場でグループ討議を行った。
○平成21年度
  ・テーマ「市民にとって望ましい議会とは」で市民との意見交換。
  ・市民参加者は152名。
  ・6月に4日間、4会場で実施。
  ・議員全員を、資料班、広報班、まとめ班に分け、事務局はサポート役。
  ・全議員が全会場出席。議員、市民とも各会場でグループ討議を行った。
○平成22年度
  ・テーマ「これからのまちづくりを考える」で市民との意見交換。
  ・市民参加者は118名。
  ・6月に4日間、4会場で実施。
  ・議員全員を、資料班、広報班、まとめ班に分け、事務局はサポート役。
  ・全議員が全会場出席。議員、市民とも各会場でグループ討議を行った。

一般的な「議会報告会」では、議会側が議会で議論されている案件について報告を行った後、市民から説明に対する質問を受け付け、さらに自由テーマでで市民からの要望・意見を聞くケースが多い(栃木市議会や千葉県流山市議会などではそうした方法をとっている)。
それに対して登別市議会の「議会フォーラム」は1つの特定テーマを選定し、それについて市民と議員が意見交換を行っているのが大きな特徴と言える。
議会全体の動きを報告することに主眼を置いている「議会報告会」では、議員の個人的な考えを発することぱご法度”とされているが、登別市議会では市民とのグループ討議も設けられているので、議員個々の意見も発しやすいことは最大のメリットと言えるだろう。
その一方で、テーマが限定されているため、選定された内容によっては市民の関心を惹かず、参加者の減少を招きかねないというリスクがある。
事実、市民の参加者数を見ると年々減少しているのが分かる。この点についての評価は、テーマの選定によるものなのか、マンネリ化によるものなのか分からない部分であり、今後も確認をする必要があると思われる。
いずれにせよ、各地の議会で議会報告会が取り組まれはじめたのがここ数年間の動きであることを考えると、平成19年度から実施していた(試験的なもので言えば、すでに18年度から実施されている)ことは高く評価される。また、いずれの「議会フォーラム」でも、最終報告書を取りまとめている点も、議会全体の意識の高さを示しているものと言える。
※1 地方議会の改革について調査・研究を行っている東京財団は、議会基本条例の必須3条件として、(1)議会報告会の開催(2)請願・陳情者の意見陳述(3)議員間の自由討議の条例における義務化、明文化を挙げている。

所見

現在、真岡市議会の中でも話し合いを続けている「議会改革」をテーマとして、先進地である登別市を視察したが、感じた点について最後にまとめてみる。
まず、議会改革が一定の形を見るまでに要する期間の問題である。登別市議会では平成17年度から議会改革の協議機関を組織し、議員定数や政務調査費などの削減から始めている。その後19年の改選を経て「常任委員会のあり方の見直し」、「議会フォーラム」の開催、「インターネット中継」の開始などが行われた。そして23年の改選後に「政治倫理条例」と「議会基本条例」の制定と続く。議員間で十分な議論を尽くした結果だとしても、期間としては非常に長いように思えた。このことは、議会改革を進めるにあたって議会内での抵抗も非常に強いことを物語っている。真岡市議会としては、今後の議論を進めるにあたって十分な時間はかけるにしても、もっと短い期間で実現に至れるように各議員は努めていかなければならないだろう。

次に、議会改革を進める上で議員間が話し合う協議機関の問題である。登別市議会では、全議員を4つの小委員会に分けて議論を進めてきた。これは、複数存在する議会改革の課題に対して効率よく話し合いができるメリットがある。
加えて、全議員が参加することで、議員個々の考えはいずれにせよ、議会全体で改革に向かっていくという意識づけをするためにも有効な手段であると思われた。現在、真岡市議会では各会派の代表者、各当選期別の代表者によって「議会制度定数・報酬等検討委員会」が組織されているが、全議員が話し合いに参加する手法は今後の参考になると思われた。
最後に、独自性の問題である。現在、全国各地の地方議会で改革が叫ばれ、様々な取り組みが報告されている。それ自体は素晴らしいことなのだが、ともすれば、他議会からの安直な“直輸入”になりかねない危険性もはらんでいる。
それに対して登別市議会では、インターネット中継をけじめとしてITを活用した取り組みなど、独自の動きを見せているのは高く評価したい。偶然、真岡市議会でもインターネット中継について話し合いをしていた最中であり、導入までの過程についての説明は大変参考になった次第である。
いずれにせよ、真岡市議会としても時代の変化や真岡市の風土にマッチした議会改革とは何なのか、全議員が参加して議論をしていかなければならないと感じた。

この視察では下記の金額が公費でまかなわれました(議員1人あたり)

総額 64,590円 出所 政務調査費
内訳 交通費・宿泊費・相手先みやげ代

※当然のことですが、視察中の飲食代は全て議員の個人負担です。