【9月18日】
2010/09/18
- 近況報告・お知らせ
この日は市内の各小学校で運動会が行われ、真岡地区にある4つの小学校をお邪魔した。
その後、電車を乗り継ぎ千葉市へ向かう。以前から興味を抱いていた地域通貨を調査するために、同市内の『ゆりの木商店会』へ視察に赴く。
JR総武線の西千葉駅前にある『ゆりの木商店会』で、地域通貨『ピーナッツ』を導入したのは2000年(平成12年)のこと。きっかけは、NPO法人千葉まちづくりサポートセンターで当時副代表をしていた村上和彦氏による働きかけであった。
地域通貨を普及させる大きな目的として、話し相手、車による送迎、買物や料理の代行、留守中のペットや花の世話、草取り、子守り、外国人との通訳、パソコンの操作など、無償のボランティアでは依頼しにくかったちょっとしたサービスの提供を受けやすくなるのに加えて、担い手にとっても目に見える対価をやり取りすることで、活動を継続させる励みになることが挙げられる。それぞれの人が待っている特技を地域の中で活かせるため、人々の絆を強くさせるコミュニケーションツールとして、これまでも度々注目されてきた。私が『ピーナッツ』に興味を抱いたのは、地域通貨をコミュニケーションツールとしてだけでなく、商店会の活性化策としても活用している点である。
地域通貨には、独自に金券を発行し流通させる『小切手型』と、ボランティアなどの助けを受けたときにその記録を書き込む『通帳型』の2つのスタイルがあり、『ピーナッツ』は『通帳型』の方法を採用している。
しかし、『ピーナッツ』を立ち上げた当初、積極的に参加をしようとした商店主はいなかったという。忙しい時に通帳に書き込む手間が面倒であることがその大きな理由であったらしい。そうした中、当時『ゆりの木商店会』で会長をしていた海保眞氏が、単独で自分の店(美容室)において『ピーナッツ』を利用できるようにした。その様子を見ていた他の商店主達も、その後同調するようになったようで、現在では商店会のうち約半分の店で『ピーナッツ』が使える。
写真は中華料理店『ぎやまん亭』の入り口の様子。『ピーナッツ』で買い物ができると言っても、全額使える訳ではなく価格の一部が割り引かれる。『ピーナッツ』は、お互いの“言い値”でやり取りされるため、悪用を防ぐためにはこうした方法になるのであろう。
割引だけと言っても『ピーナッツ』に参加している人達にとっては、商店会に足を運ぶきっかけになっているようで、『この10年で商店会の店が27店から37店に増えた』『ピーナッツがなかったら、うちの店はとうの昔に閉めていただろう』という話も取材の中で聞くことができた。
さて、視察に赴いた18日は『ゆりの木商店会』で月1回開催される『第3土曜市』の当日であった。商店会の一角にあるポケットパークには、商店主だけでなく(むしろ商店主は通常の営業をしているため参加は少ない)、隣にある千葉大学の学生をはじめ様々な人たちが模擬店を出店していた。商店主と学生達が楽しそうに談笑している様子を見ると、『ピーナッツ』が有効なコミュニケーションツールとして機能していることを強く感じた。
(学生と談笑しているのが、海保眞氏)
この『第3土曜市』で名物の1つになっているのが、前述のぎやまん亭で開かれている落語会。元々ご主人が落語好きで、千葉大学の落語研究会の学生と交流がきっかけとなりお店の中で寄席が開かれるように。今では千葉大学OBでプロの落語家となった春風亭吉好さんたちの勉強の場ともなっている。『あなたも着物を持参してきなさい!』と村上氏に言われ、吉好さんたちと共演することとなった(中華料理屋さんの店内がこんな風に…驚きです)。
ちなみに、この日のギャラは1万(円ではなくピーナッツ…)。帰り際、村上氏から『また、度々遊びにいらっしゃい!』。なお、『ピーナッツ』は、交換を促すため月に1%ずつ減価するとのことで、早いうちに勉強しにいかなければと思っている(あっ、こうやって商店会の活性化につなげているのか!)。