近況報告

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【2月6日~8日】

市議会の無会派議員と公明クラブの合同で視察研修を行い、徳島県神山町と愛媛県松山市を訪れた。
今回のテーマは、①起業家支援・UIJターン促進、②歩いて暮らせるまちづくり、さらに現場視察として③ごみの最終処分場から発生する副生塩のリサイクルの3つだった。

(神山町)
同町は、かつて林業が盛んで約2万人の人口を有していたが、現在は約6000人。
典型的な過疎地域とも思えるこの町に、都市部の企業のサテライトオフィスや、Iターン・Jターンの起業家などが町にやってくるようになったのは、2010年頃からのこと。

神山町の取り組みは、以前から様々なTV番組などでも紹介され、私もその都度『なぜ、この町に?』と思っていたが、きっかけは意外にも早く、90年代初頭からあったようだ。

この町におけるキーマンとして、現在NPO法人グリーンバレーで理事長を務める大南信也氏が挙げられるが、1990年に彼が小学校のPTA役員を務めていた際、仲間達と国際交流事業(昭和初期にアメリカからプレゼントされた人形の里帰り事業)を推し進めた。
その後、彼らは町に『国際交流協会』を立ち上げたのだが、当時、徳島県が『とくしま国際文化村構想』というプロジェクトをはじめ、国際交流協会もそれに関連した取り組みを行うことにした。それが『神山アーティストレジデンス』。国内外の若手芸術家に、一定期間町内に滞在させ、自身の作品を作り上げるというもの。

これを契機として、その後

(1)アーティストレジデンスに参加した芸術家の何人かが神山町へ移住
           ↓
(2)芸術家の知人である建築家やウェブデザイナーが神山町に興味を抱く
           ↓
(3)建築家やウェブデザイナーの情報発信により会社経営者や起業家も興味を抱く

という流れになり、神山町の今日の姿になったようだ。

今後、真岡市において起業家への支援を考える上で参考になったのは、
① 神山町を拠点としているウェブデザイナーが、移住を検討している人々の目線にたって、情報発信(ウェブサイト『イン神山』など)を行っている
② 『神山塾』などを通じて、移住希望者に対して切れ目のない創業支援事業を続けている
③ NPO法人グリーンバレーのスタッフなど町の関係者が、移住者に対して徹底したフォローを行っている

実を言うと、情報発信や創業支援事業については、どこの自治体でも取り組まれているものである。しかし、移住者に対する相談支援体制がどこまで機能しているか。単純なことであるが、それによって自治体間で大きな差が生まれるということを痛感した。

(松山市その1)
同市は、四国では初の50万人都市である。
市の発展とともに、都市機能が拡大・拡散してきたが、中心市街地の空洞化や少子・高齢化などの課題を克服する必要性から、コンパクトシティの形成へとまちづくりの方針を転換するようになった。
取り組んだテーマは、安全・快適で歩いて暮らせるバリアフリーのまちづくり。

国土交通省の『歩いて暮らせるまちづくり推進事業』や『まちづくり交付金』の制度を活用しながら、ロープウェイ街(平成14~18年)、道後温泉(平成18~20)、花園町(平成26~29年)という3つのエリアの都市再生を手掛けてきた。
注目すべきは、その徹底ぶりだと思う。
『歩道のバリアフリー化』などは、全国各地で取り組まれていると思うが、例えばロープウェイ街(山の上にある松山城に行くための交通手段)では、バリアフリー化だけでなく、歩道の拡張と車道の縮小(一方通行化)、さらに大型バス駐車場をロープウェイ乗り場から離れた場所に移転するなどして、歩行者が歩きやすい地域を作り上げたのである。

『そんなことをして、商店主達の反対はなかったのか?』という疑問が生じる(未整備地域での合意形成は、その辺りも今後問題になってくるとは思いますが)。
しかし、これまでロープウェイを利用し、松山城を見るだけで帰ってしまっていた観光客が、遠く離された駐車場から、歩きやすくなった商店街を散策するという流れをつくったことにより、観光客の滞在時間が増え、商店街の活性化にも繋がっているという。
『中心市街地の活性化』が叫ばれて久しい。しかし、それを本気で実現するのであれば『歩行者が歩きやすいまちづくり』、誤解を恐れずに言い換えれば『自動車が通行しにくいまちづくり』という考え方が必要なのかも知れない。

(松山市その2)
松山市役所で『歩いて暮らせるまちづくり』について説明を受けた後、現場視察として同市のごみ最終処分場である横谷埋立センターへ。
以前から環境保全を推し進めてきた同市は、ごみ減量についても力を入れ、平成15年度には28000tも最終処分場に持ち込まれたごみが、27年度には8400tまで減少(約7割減)している。
横谷埋立センターの埋立年度も、当初計画では今年度で終わる予定だったが、あと23年間も利用可能(!)になったらしい。

これには、ごみ減量化とともに焼却ゴミのスラグ化できるようになったことも大きな要因なのだが、そのスラグ化によって、塩化物イオンやカルシウムイオンが、以前と比べて高い濃度で雨水を通じて溶出するようになり、関係者もその対応に頭を悩ませてきた。
そうした中、福岡大学の研究グループによって、ごみの最終処分場から出る塩分を、下水処理場において消毒剤(エコ次亜)とする技術が開発され、松山市では全国で初めてそれを活用するに至った。

本格運用は平成29年の4月から。これに伴う初期経費は、最終処分場が約7億5000万円、下水処理場で1億1500万円。それに対して、エコ次亜の活用による下水処理の経費削減は約9000万円とのこと。

大きなトラブルなどが発生しなければ、10年程度で元が取れる計算である。ただし、これが芳賀郡市の人口規模(約15万人)でも同様の効果が得られるのかについては、より慎重に調査する必要があると感じた。

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【岐阜県にて日帰り研修】

5月13日(月)、岐阜県の岐阜市と多治見市で行われた「全国若手市議会議員の会OB会」の研修に参加してきました。

 

今回の研修内容は、
(1)こどもサポート総合センターとエールぎふ(岐阜市子ども・若者総合支援センター)について
(2)自動運転バスの5年間の試行運行について
(3)NPO法人「ママズカフェ」の取り組みについて

 

岐阜市では、昨年11月から自動運転バスの運行が5年間にわたって行われています。自動運転バスを走らせている自治体は少なくありませんが、現在公道を使って運行しているのは全国で岐阜市を含めて9ヶ所。

 

岐阜市ではこの半年間で、2万人以上の人たちが自動運転バスに乗車したとのことです。

 

私たちもこの日の研修で、岐阜市役所から岐阜駅までの区間、自動運転バスに乗せていただきました。最高速度が30km/h程度であるため、周囲の自動車の進行を妨げてしまう光景も見られ、そういった点がこれからの課題かも知れません。しかし、専用の通行レーンを設けるといった取り組みを進めると、さらに可能性が広がるのではないかと感じました。

 

人口減少にともない、運転手など担い手の確保が大きな課題になりつつある中、公共交通の持続可能性を高めるためにも、自動運転バスは1つの切り札になっていくものと思われます。

 

また、この日は岐阜市が児童虐待の防止と早期発見・対策のために、令和4年度からスタートさせた「こどもサポート総合センター」(市教委、県警、児相が同じフロアで連携)、さらに多治見市では子育て世代を対象としたカフェの運営や起業支援を行っているNPO法人「ママズカフェ」(平成13年からスタートさせたという全国でも先駆けの組織)の取り組みについても研修を受けてきました。

 

前日に地元での行事が、そして翌日には市議会の会議があったため、この日のみの研修参加となってしまいタイトなスケジュールでしたが、非常に多くの収穫がありました。

 

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